【禁止じゃない】公務員ができる副業の範囲と解禁の流れ|元消防士が解説

公務員ですが、副業に興味があります。
できる副業があるらしいけど、どこまでできて、何ができないのか知りたい。

あと、副業の解禁がいつなのかも知りたいなぁ。

こんなお悩みを解決します。

✔︎この記事を書いた人
2011年 東京消防庁に入庁(673期です)
2014年 副業で不動産投資をはじめる、2件購入
2014年 東京消防庁を退職
2014年 海外に移住、就職

と、実際に消防士として働いていました。
消防士3年目で副業で不動産投資を始めて7年経った今でも継続しています。
» 【実体験】3年目の消防士が不動産投資に挑戦|自己資金・借入金は?

副業はダメ、
副業したら処分

公務員になりたての頃、このような指導を受けたことかと思います。

本当はできる副業もありますが、そんな細かいことは教えてくれないんですよね。
副業か副業じゃないかの線引が分かりずらいですし。

この記事では次の3点について解説します。

✔︎本記事の内容
国家・地方公務員ができない副業の範囲
国家・地方公務員ができる副業の範囲
副業解禁の流れ

本記事の信頼性
副業の範囲については国家公務員法・人事院規則・地方公務員法の条文を元に、
副業解禁の流れについては、閣議決定の資料・総務省の通知を元に解説します。

この記事を読めば、公務員ができる副業の範囲が明確になり、副業に取り掛かりやすくなります。
副業を始めたい公務員の方の行動を起こす後押しになれば幸いです。

消防士でもできる副業7つを次の記事にまとめています。

目次

国家公務員ができない副業の範囲

国家公務員ができない副業の範囲

国家公務員は次のいずれかの場合は、副業できません。

・3大原則に違反する場合
・私企業からの隔離 / 他の事業の関与制限に該当する場合

順番に解説していきますね。

国家公務員ができない副業①:3大原則に違反する場合

次が国家公務員法の服務の3大原則です。

・信用失墜行為の禁止(第99条)
・秘密を守る義務(第100条)
・職務に専念する義務(第101条)

3大原則1:信用失墜行為の禁止(国家公務員法99条)

公務員の信用を傷つけ、公務員全体の不名誉となるような行為の禁止

違反して処分された事例を紹介します。

信用失墜行為の禁止違反で処分になった事例

・職場の共有物である図書をインターネットオークションで売却し、その売却益を私的に着服した →  免職処分

・ソーシャルメディア上において職務遂行に支障を来しかねない不適切な内容や差別を肯定する ような内容を投稿した →  減給処分

公務員じゃない人がやっても問題になりますね

常識の範囲内で副業すれば、99条に違反することはありませんね。

3大原則2:秘密を守る義務(国家公務員法100条)

仕事上知ることのできた秘密を在職中・退職後も漏らすことは禁止

秘密が漏れることで国や個人の利益侵害や、行政事務の阻害するを防ぐのが目的です。

秘密の具体例としては、外交交渉に関する情報、入札情報、個人情報など。

守秘義務違反で処分になった事例

・行政処分の検討状況を事業者に漏えいした → 停職処分

こちらも常識の範囲内で副業すれば、違反することはありませんね。

3大原則3:職務に専念する義務(国家公務員法101条)

勤務時間中は注意力のすべてを職務に専念させなければならない

職務に専念する義務違反で処分になった事例

・勤務時間中に、私用のスマートフォンや業務用のパソコンを使って、業務と無関係の株価や旅行情報を閲覧した → 減給処分

株やFXは、公務員ができることでも有名ですね。
勤務中にスマホで情報を閲覧も処分の対象です。

株やFXがダメなのではなく、勤務中にスマホで情報を閲覧をしたのがダメというところがポイントです。
勤務時間外であればOKです。

勤務中のスマホ閲覧は、ダメとわかっていても気軽にできてしまいますからね。
これは要注意です。

国家公務員ができない副業②:私企業からの隔離 / 他の事業又は事務の関与制限

国家公務員はこの2点により大部分の副業ができなくなります。

・私企業からの隔離(第103条)
・他の事業又は事務の関与制限(第104条)

103条・104条ともに副業ができる例外はありますが、どちらもハードルが高いため、この線の副業は一旦諦めましょう

国家公務員法103条:私企業からの隔離

①自ら営利企業を営むこと、営利企業の役員・顧問になることの禁止。
②人事院の承認を得た場合は上記は適用されない。

営利企業の経営をすることや役員・顧問に就くことはアウト

例外として、所轄庁の長(大臣や長官)の承認をもらった場合は副業できるようになります。

※人事院が所轄庁の長に権限を委任しているため。

国家公務員法104条:他の事業又は事務の関与制限

報酬をもらいながら、非営利の事業団体の役員、顧問になる場合や、その他のいかなる事業に従事する場合は、内閣総理大臣とその職員の所轄庁の長の許可が必要。

仕事に関わって報酬をもらう系はアウト

例外として、内閣総理大臣と所轄庁の長(大臣や長官)の許可をもらった場合は、副業できるようになります。

企業の経営に携わらないのはともかく、
労働に対してお金をもらうことができないので、
ほとんどの副業ができない
んですね。

続いては、「できる副業」について解説します。

国家公務員ができる副業の範囲

国家公務員ができる副業の範囲

国家公務員が「できる副業」のポイントとなってくるのは、営利企業の経営(103条文中)の定義です。

できる副業の範囲は次の2つ

・営利企業の経営(自営業)に該当しない副業
・承認を得られた自営業の副業

国家公務員ができる副業①:自営業に該当しない副業

人事院規則では、次の3つは一定の規模(※)を超えなければ、自営業に該当しないとなっています。
つまり、私企業からの隔離(第103条)違反になりません。

・不動産または駐車場の賃貸
・太陽光電気の販売
・農業

“一定の規模”というのが副業できる・できないの境界線なので詳しく見ていきます。

自営業に該当する一定規模の基準

次で示された数字に達しなければ、自営業とみなされないので堂々と副業できます。

不動産又は 駐車場の賃貸独立家屋・・・5以上 / アパート・・・10室以上
土地・・・10件以上 / 駐車台数・・・10台以上
賃貸料収入が年額500万円以上
太陽光電気の販売発電設備の出力が 10 キロワット以上である場合
農業等大規模に経営され客観的に営利を主目的とする企業と判断される場合
出典:「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

数字で示してくれているのはありがたいですよね。
僕もこの数字の範囲内で不動産投資の副業をしていました。地方公務員でしたが。

※上の基準に該当して自営業と見なされる場合でも、承認を得れば副業が認められます

人事院規則とは細かい決めごと

人事院規則とは、国家公務員法を実際に運用するための、細かい決めごとのようなものです。

国家公務員法96条2項によって、「法律で補えないところは、人事院規則で定める。」と委任を受けています。

国家公務員ができる副業②:承認を得られた自営業

次の3つは、承認を得れば、副業することが認められます。

・一定規模を超えた不動産または駐車場の賃貸
・一定規模を超えた太陽光電気の販売
・その他の副業

<承認の基準>

不動産又は駐車場の賃貸 太陽光電気の販売1 職員の職務と承認に係る副業との間に利害関係がないこと。
2 管理業務を事業者に委ねることにより職員の職務に支障が生じないこと。
3 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
その他の兼業1 職員の職務と当該副業との間に特別な利害関係がないこと。
2 職員以外の者を当該事業の遂行のための責任者としていること等により職員の職務の遂行に支障が生じないこと。
3 当該事業が相続、遺贈等により家業を継承したものであること。 
4 その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
出典:「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

国家公務員の副業解禁の状況

国家公務員の副業解禁の状況のポイントは次の3点。

国家公務員の副業解禁のポイント
・2018年、公益活動等の副業するための制度運用の環境整備
・2019年、公益活動等の副業希望者のために許可基準のさらなる周知
・今のところ、公益活動が強調されている。

副業の制度運用の環境整備

安倍内閣で閣議決定された成長戦略「未来投資戦略2018」

その人材の最適活用に向けた労働市場改革において、国家公務員の副業について次のように盛り込まれました。

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。

出典:未来投資戦略2018

副業の許可基準周知

「成長戦略フォローアップ2019」、その”全世代型社会保障への改革”の多様で柔軟な働き方の拡大において、国家公務員の副業について次のように盛り込まれました。

国家公務員の兼業について、公益的活動等を行うための兼業を希望する者が円滑に制度を利用できるよう、明確化した兼業許可基準の更なる周知を図る。 

出典:成長戦略フォローアップ2019

明確化された基準について

今後は、明確された副業の許可基準に注目です。
公益活動か、公益活動じゃないかの境界線が難しいからです。

例えば、特Pアキッパ(akippa)などは自分の駐車場を他人に貸し出す副業であり、「路上駐車をなくす」と社会貢献を謳ってます

国家公務員の副業解禁は、目に見えて進んでいますね。
今後、副業解禁の最新情報があったら本記事に加筆していきます。

ここまで、国家公務員の副業について見てきましたが、次項からは地方公務員の副業について見ていきます。

地方公務員ができない副業の範囲

tちちhちほ地方地方公務員ができない副業の範囲

地方公務員は次の場合、副業できません。

・3大原則に違反する場合
・営利企業の従事制限に違反する場合

地方公務員ができない副業①:3大原則

3大原則の内容は、国家公務員法と同じです。

・信用失墜行為の禁止(第33条)
・秘密を守る義務(第34条)
・職務に専念する義務(第35条)

地方公務員法33条:信用失墜行為の禁止

公務員の信用を傷つけ、公務員全体の不名誉となるような行為の禁止。

地方公務員法34条:秘密を守る義務

仕事上知ることのできた秘密を在職中・退職後も漏らすことは禁止。

地方公務員法35条:職務に専念する義務

法律・条例に特別の決まりがある場合以外、勤務時間・職務上の全注意力を職責のために用い、公務にのみ従事しなければならない。

常識の範囲内で動いていれば、3大原則に違反することはないですね。

地方公務員が副業するためにポイントとなってくるのは、次項で解説する「営利企業への従事制限」です。

地方公務員ができない副業②:営利企業への従事制限

これにより大部分の副業ができなくなります。
次の2点を禁止しています。

・営利企業の経営や役員、顧問に就くこと
・仕事に関わって報酬をもらうこと

根拠となっている条文は、地方公務員法38条1項です。

地方公務員法38条1項:営利企業への従事等の制限

任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員に就くことや自ら営利企業を営むことはできない。又は報酬を得ていかなる事業にも従事してはならない。

営利企業の経営(自営業含む)をすることや役員・顧問に就くことはアウト
仕事に関わって報酬をもらう系もアウト

ほとんど何もできないということになります。
でも、条文の通り任命権者の許可を受けなければ
副業ができます。
次項で詳しく解説します。

地方公務員ができる副業の範囲

地方公務員法38条により、地方公務員ができる副業は、任命権者の許可を得た場合に限られます

不動産賃貸、駐車場の賃貸、太陽光電気の販売についての自営業の基準は、自治体ごとの人事委員会規則によって定められています。

任命権者の許可基準も自治体によって違います。

ですが、実績として任命権者の許可は出ているので心配ありません。

副業の任命権者の許可は出る

総務省の資料によると、平成30年度は4万人以上の副業の許可がされています。

出典:総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」 営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査(H31.4.1時点)

上の表の”その他の兼業”は、農業、不動産賃貸、その他の家業の手伝い等です。

任命権者の許可基準設定状況

出典:総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」 営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査(H31.4.1時点)

許可基準が設定されている自治体は、上の通り4割程度です。

この数字は、令和2年1月10日の総務省の通知により確実に改善されるのは間違いありません。

次項で詳しく解説しますね。

地方公務員の副業解禁の状況

柔軟な働き方の希望の高まりや、人口減少による人材確保が難しくなっていくことを背景に
総務省は、地方公務員の副業解禁を次のように進めました。

地方公務員の副業解禁の状況のポイントは次の2点。

地方公務員の副業解禁のポイント
・令和元年11月:専門小委員会にて地方行政体制のあり方について議論
・令和2年1月:副業許可基準について都道府県へ通知

地方行政体制のあり方を議論

令和元年11月、総務省地方制度調査会第26回専門小委員会にて、
地方行政体制のあり方について議論がありました。

議題は、高齢者人口がピークを迎える2040年を考慮しつつ、現在の諸課題に対応する地方行政体制のあり方について

この議論を元に、総務省から各自治体に向けて具体的な通知が出ました。

「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する調査 」の結果等について(通知)

令和2年1月、総務省から各自治体に向けて、副業の許可基準に関する明確な通知がありました。

通知の内容は次の3点

副業の許可の設定について

既存の通知や国家公務員法、人事院規則等を踏まえ、各地方公共団体において具体的な許可基準を設定すべきこと。

副業の許可の公表について

兼業許可の透明性や 予測可能性を確保すること。社会貢献活動等の副業を希望する職員が許可申請しやすいように、各地方公共団体において許可基準を公表すべきこと。

副業許可の運用について

副業による公務への弊害を防ぐため、各地方公共団体は、副業許可に一定の有効期間を設定した上で、兼業先の業務内容・実態把握等を定期的に行うべきこと。

地方公務員の副業解禁も目に見えて進んでいますね。

自治体によって許可基準が違うことに注意しましょう。

まとめ:公務員ができる副業の種類は増える

国家公務員の副業は、現時点でも明確にできるものがありました。

今後は、国家公務員も地方公務員も許可基準が明確になるので、より副業しやすい環境になるでしょう。

次に問題になってくるのは、公益活動の定義が何かというところかと思います。

特Pアキッパ(akippa)などは自分の駐車場を他人に貸し出す副業であり、「路上駐車をなくす」と社会貢献を謳ってます

地方公務員は、令和2年1月の通知をきっかけにそれぞれの自治体で副業許可基準が明確になっていき、国家公務員の基準と近い形になるのは間違いありません。

公務員の副業解禁は、多様な働き方・人口減少という社会問題背景が理由でした。

今後は、ふるさと納税で起こった競争のように、優秀な人材を確保するために、副業しやすい環境を整えることが自治体間の競争になることも起こり得るかもしれません。

消防士でもできる副業7つを次の記事にまとめています。

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